ぱろしょ出張所

創作小説投稿サイト「ぱろしょ」の管理人たちが書くゆるいブログ。 一話が数行で終わる超ショートショートを書いてみたり、無とはなんなのか。なんでもいいや、という境地を見出す感じのブログです

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男はメロンが大好きだった。
毎日メロンを食べていた。
メロンを見ると興奮し、スイカを見ると落ち着く、そんな有様だった。

男はメロンになりたいと思った。
好きこそものの上手なれ、と思ったのだ。
その使い方は完全に間違っていたが、その気持ちは汲んであげてもいいのではなかろうか。
男は割と筋肉質の身体をしていたが、繊維質と糖度の点でメロンには及ばなかった。
ためしに重度の糖尿病になってみたが、周囲からメロンぽくなったと言われることもなく
ただ心配された。

その後、闘病生活を送っていたある日、メロンはムリだがメロンパンにはなれるかもしれない、
男の脳裏に稲妻が走った。
そう思った男は日焼けサロンに通い、こんがり小麦色に焼いた。
「もはや小麦だ」
そう確信した男はパン屋を探した。
しかし不況のあおりを受けて街に溢れていたパン屋は軒並み潰れてダンス教室になってしまっていた。
困り果てた男はパン屋をさがす旅に出た。

そして11年が過ぎた。
ある日、パンウマーイという町にたどり着き、ふらふらと歩き回っていると
とある店の中から威勢のいい声がきこえてきた。
「カレーパンカレーパン!ピザパンベーグルチョココロネクロワッサァァァァァアン!」
ここならいける。直感した。
店に飛び込み、早速メロンパンになりたい旨をわかりやすく伝えた。
「ここは武器屋だが」
「えっ」

予想外の答えに男はうろたえた。
『どう考えても、パン屋ではないか…』
がくがくとひざが震えだし、崩れ落ちながら男はそう消え入りそうな声で言った。
「私は、メロンパンになりたいのです」
うつぶせに倒れたまま男は言う。
「何故そんな夢を」
「メロンが好きだからです。しかしメロンにはなれません。ならばせめて」
「メロンパンもムリだろ」
「じゃあ、私の11年はなんだったんでしょう」
「ムダな歳月」
男は自分の身体が更に床にめり込んだような気がした。
「先ほど、パンの名称を叫ぶ声が私の耳に届いたのです。しかしここは武器屋だという。ああ、もう何も信じられません。幻聴だったのでしょうか」
「それは叫んでいた。強くなる為に斧を振り回していた。そう、斧を扱うときはパンをこねる感じを意識しろと、かのソードマスター、オカカオニギリ殿から教わったのだ」
「ソードマスターなのに何故斧を」
「えっ」
今度は武器屋がうろたえた。
「考えたこともなかった。私は何故ソードマスターに斧を教わろうとしたんだ。今までの12年はいったい」
「ムダな歳月」
武器屋はあまりのショックで前のめりに倒れこんだ。
店内は二人の男がうつぶせになっているシュールな光景と化した。
「あなたは私よりも1年むだにしたのですね」
「そうだな。どうりで全く上達しないと思った。ソードマスターになら、剣を教わるべきだったのに…!」
「ソードマスター殿も困った末のデタラメだったのでしょう」
「オーノー」
「センスもひどいですね」
「死にたい」
「しかし死にたいのは私もです。もう以前の生活に戻るには時をムダにしすぎた」
「せめて若返りの秘薬が欲しい」
「実在するのか、そんなものが」
「わからない。だがそんなことは問題ない。我々でつくればよいのだ」
「そうか…もう無駄にしきった人生だ。それに賭けよう」
「ああ」
奇妙な友情が芽生えた二人の無駄人生組。
うつぶせになったまま、若返りの秘薬をつくって人生をやり直そう、と固く誓いあった。



しかしそんなものは完成することもなく、
というか二人とも2~3日で研究に飽きてその後の人生をだらだら過ごし、
何事も無く幕を閉じた。


-完-


教訓:時間を大切に
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