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ぱろしょ出張所跡

消滅した創作小説投稿サイト「ぱろしょ」の管理だった人が書くブログ。 一話が数行で終わる超ショートショートを書いてみたり、無とはなんなのか。なんでもいいや、という境地を見出す感じのブログです

まったり系小説投稿サイト「ぱろしょ」は↓でした。
「ぱろしょ」はモノカキのための
都市開発せずに小ネタを探すのが楽しいハートフル都市開発RPG「市長と秘書RPG」公開ページが消失したので非公開中!
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プレゼンテーションとはこのように行われる


――株式会社ジェノサイド 木星支社ミーティングルームにて

「えー、マイクテスマイクテスマイクタイソン。本日は曇天なり。木星の輪っかが綺麗なり。うん、大丈夫だ」

「――ではこれより開発部による新プロジェクトのプレゼンテーションを行います。質問等ございましたら随時受け付けます」


「ではまず皆様にお配りしたA4の資料3ページよりご覧下さい」
「ちょっといいかね」
「なんでしょうか、支社長」
「1,2ページが無いようだが?」
「コピーを頼んだ事務のオバチャンに、放送禁止用語が含まれてると怒られて急遽削除しました。気にしないで下さい」
「……」

「えー、昨今の宙間戦闘用軍需産業の需要伸び率は目を見張る物があります。人類が宇宙にでて半世紀。地球連合加盟国の軍備一斉放棄の提案をアヌリカ、ロツアをはじめとするアレげな国家群がバカにする勢いで反対したのを皮切りに各国の疑心暗鬼を呼び、結果として宙間軍需技術産業は飛躍的な成長を遂げました――」

「我が社は、傭兵派遣や兵器製造等、軍事のアウトソーシングを一手に担わんとする企業であります。我々が平和を語るのは笑い話でしかないでしょう――」

「開発部ではこれまで『強い、安い、造りやすい、見た目が面白い』をモットーに汎用兵器を主軸として研究を進めてきました――」

「しかし宙間戦闘は容易でなく、汎用兵器を造ったところで乗りこなせる人材の方が不足しているのが現状です。まあ、その為に我が社は傭兵派遣業もやっているのですが……。その人材不足が顕著に見られる事から、他社を見渡せば、一機で戦闘における局面を変えられるカスタムメイド高性能兵器の風潮が――」

「そこで我々も流行に乗り遅れるのがイヤだったので新たに一撃必殺に重きをおいた完全カスタムメイド砲撃兵器のビックリプロジェクトに着手しております」
「ちょっといいかね」
「なんでしょう、支社長」
「突然180°転換したようだが、過去にそういう類のプロジェクトはあったのかね?」
「ありません。全くの思いつき――もとい新しい試みです」
「ではノウハウの不足からかなりの予算もかかるだろう。情けない話だが我が社も去年は利益を全て内部留保という形で株主配当を誤魔化したほどだしな…」
「ええ、以前のプロジェクトより莫大な費用がかかるのは目に見えています。しかし……が……の……ひょ…う…なので本社から特別予算が降りて今回のプロジェクトも現実味を帯び…」
「ん、途中よく聞き取れなかったのだが…」
「結論からいえば予算の目処はついているということです」
「そうか…。なんか腑に落ちないが、続けてくれ」
「つまり上層部への地道な嫌がらせが功を奏して今回の…」
「うぉぉい!」
「なんですか長官。発作?」
「違う! 開発部はそんな事をして予算をとったのか?!」
「はい」
「最近本社の社長がノイローゼ気味だと思ったら!なんてことをっ!」
「すいません!でも我々はどうしても今回のプロジェクトをやりたかったんです!あまり文句言うとあの事バラしますよ?」
「続けたまえ」
「ということで、我々が社運を、いえ、全人類の存亡をかけたといっても過言ではない超兵器計画の具体的な内容ですが」
「……存亡?」
「はい、存亡です。主に亡です」
「……」←不安
「まず名称ですが、従来の”スーパー~”、”ウルトラ~”、”なんちゃって~”、”ライダー~”や”ペガサス~”等の凝ったネーミング故の『で、これは結局何?』という疑問を抱かせてしまうダメさから脱却し、名称イコール兵器の用途というわかりやすさを追求しました」
「それは良いことだな。で、その名前は」
「銀河消滅砲」
「開発中止」
「ええ?!なんでですか!まだ名前言っただけなのに!」
「銀河を消滅さすな」
「せめて話を聞いて下さい!支社長も第一印象は悪いけどつきあってみたら意外といいやつだったとか経験あるでしょ?!」
「あー、わかったわかった。聞くだけ聞こう」
「ありがとやんす!えー、銀河消滅砲は地球上の原発を全基フル稼働させて3日3晩つきっきりで、もうダメだ爆発する!っていうくらいまで充電、一撃必殺の加粒子砲を撃ちます。その威力は名称の通り銀河系をかるく2~3個消滅」
「やっぱり開発中止」
「ええ?! ちょ、なんでです!」
「第一印象通りだったから」
「いえいえ、まだまだ魅力が詰まってるんです、コイツには!小悪魔的な魅力が!」
「……。とりあえず死神的でないことを祈ろう」
「たとえば!発射後の余熱を利用して1億人分のご飯が炊けます!」
「兵器で遊ぶな!」
「兵器と調理器具のマルチユースなんて斬新じゃないですか!」
「斬新ならいいってもんじゃない」
「むう。他にも、この兵器のデメリットである全長200キロメートルという巨大さを克服するため、2つ折りに折りたたんで収納することを可能としました。これで待機時は全長100キロメートルのコンパクトサイズです」
「全長100キロをどこに収納しろっつーんだ…」
「しかも折りたたみ所要時間は2秒!」
「早っ!」
「計算すると秒速50キロメートルですね」
「その計算は間違ってると思うが」
「あとは発射口に鉄の斧を投げ入れると女神のホログラムが現れたり、メインコントロールルームではコントロールモニターを利用して宇宙デジタル放送やDVDも観られます。四方にのびたユニットの一方には巨大テーマパークを作り、もちろん託児所も完備」
「……もう魅力はわかったからメイン用途の詳しい説明をしてくれ」
「え~?」
「何で不満そうなんだよ」
「だってカトリーヌの魅力は」
「名前変わっちゃったし」
「まあ、いいでしょう。メインの――兵器としてのお話をします。カトリーヌは既に申し上げました通り、超大出力による一撃の破壊力がコンセプトの最強砲撃ユニットです。ライバル社の株式会社ジハードで先日発表された大出力ビームシールド『バリバリバリア』は皆さんご存じかと思われます。あれの性能は現時点で最強、まさに鉄壁ビーム壁のシールドです。我々開発部も後を追ってシールドを、と思いましたが全然無理でした。そこで我々は長期にわたるブレーンストーンフレミング?ブレーメン?ラーメン?」
「ブレーンストーミング」
「ああ、そのブーメランであのシールドを破る兵器を開発しようとなり、あれを破る出力を得るために頑張ってきました」
「で?破れるか?」
「現時点では五分五分です。銀河を消滅させてもあれは破れないかもしれません」
「そんな凄いの、あのシールド」
「まあ、一点集中砲火型に変えればやれると思いますが」
「じゃあやってくれよ。何でやらないんだよ」
「そうなると今度は装甲が持たないんです」
「む…、装甲の素材はなんだ」
「ベニヤ板」
「ウソつくな」
「ウソです。素材はウチと提携しているヘナチョコリーナ社のヘナチョコ合金です」
「すごくダメそうな合金に思えるのだが…」
「いえ、ダイヤの硬さと日本刀もビックリのしなやかさ、そしてジャポネットきよしもビックリのリーズナブル合金です」
「ほう、そのすごい合金をもってしても耐えられないのか」
「一点に集めるには新たな合金、もしくは発射口周りを分厚くして全長3000キロぐらいにすれば使い捨て覚悟で一発なら撃てます」
「まさに一撃必殺兵器か……」
「史上最大の使い捨てですよね。このさいギネス目指しましょうか」
「目指さなくていい」
「でもまあ何にせよ全長3000キロの使い捨て兵器じゃどこも出資してくれないですよねぇ。株価も下がっちゃいますよねぇ。残るのは1億人分のほかほかご飯だけ」
「その炊飯とかテーマパークとかなくしたらもう少し小さくならんのか」
「なりますよ。余裕で」
「やれよ!」
「え~~?」
「それが成功したら次は面白いだけの役立たず兵器つくってもいいから!今回は我慢してくれ!」
「しょうがないですねー。我慢するのは今回だけですよ?」
「……」


「――ということで開発部プレゼンテーションを終わります。なお、本プロジェクトの開発期間は約1年を目処に進めていきたいと思っております。皆様、お疲れ様でした」
パチパチパチパチ……。←拍手



だが数ヶ月後、実験中の暴走事故で銀河は消滅した。(シールドは残った)


_人人人人人人人人人人_
> すごいオチEND <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄


(文・ビビンバ吉田)

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